個人的にはつまらないと思った(選手が頑張っているとこではなくてその体制やあり方について)冬季五輪も終わった。

やっと通常の日々に戻れるのか、と思いホッとしている。

先日、大杉漣さんが亡くなられて、追悼企画でやっていた「Hanabi」を途中から見た。

台詞が少なめでいい意味で頭を使う映画だなあと思った。

映画のネタバレにもなってしまうのだけど、ちょっとだけ中身にも触れたい。

僕はこの映画を見た時、近所に住んでいた子供の居ない斜向かいの家のMさんの最後を思い出した。

福島から出てきて奥さんと結婚して、子供はいないけど、夫婦二人の生活。

色が白くて奥さんはメガネをかけていて、見た目ちょっとだけ身体が弱そうな感じ。

旦那さんは中肉中背で余計なことは言わない。(ボール入れたら怒られたけど)

丘里にある菓子会社勤務なのでよくそこの製品を頂いた。

ペット類は飼っていない。車は確かトヨタ車だけ。

言い方が悪いけど、ザ・中流サラリーマンの典型的人物。

僕は亡くなったことを知らずに今年度の帰郷の際に父親からその最後の様子を聞いた。

旦那さんは膵臓がんだったらしい。身体の弱い奥さんのアテを探して親戚、知り合いを探して「自分のあと面倒を見てくれる人」を探す。

法定相続人が5.6人いるのだけど(笑)その誰も奥さんの面倒は見てくれず夫婦は無理心中を決行する。

一生かけて建てた家で妻を殺し、自分は家の梁で首をつる。

僕が見た時は更地になっていて不動産会社の看板だけが立っていた。

当初、袋小路の一体は警察車両でごった返したらしい。

家は解体され「事故物件」のまま売れずに其のまま放置されている。(聞くところによると400万)

そうか、奥さんを受け入れなかった人は売れた400万を山分けにするのか・・・・・。と。

介護、看護は綺麗事じゃできない。

けど、子供の居なかった彼らは結局自分たちの命の終わりを自分たちで決めた。

カッコよく言えば、おじさんはガンには殺されずに、自分で死ぬ時期、手段を選んで自ら始末をつけた。おばさんは、一人で孤独と戦うよりは愛する夫の手にかかり、そこを終わりにする決意をしたのだと思う。

僕はそんな話を聞いていたのであの作品を見ると同じような空気を感じた。

僕は映画を語れるほど、映画を見ていない。

キタノを語れるほど北野監督を知らない。(ビートたけしならテレビで知ってる)

僕が見たのは一つの作品の最後に近いあたり(タクシーがパトカーになるあたり)だからそこだけをみてすべて見知ったような口もききたくない。

映画の終わりに感じたことはMさんのおじさん夫婦のことと作品中の西夫妻のこと。

「僕も同じようにできるだろうか?」(もちろん環境と状況が違うからね?)

人というのはそういう環境になると妻を殺して自分も死ぬという選択ができるのだろうか?と思った。

もう一通り書いちゃったからいいけど、(勢いで)五輪の体制なんかより、おそらく、僕ら全員に共通してるのは「命のあり方」だよな?とは思った。

すくなくとも、Mさんの一生はなにもなく終わったことではなく、その始末の付け方にごく一部の人の心に波紋を立て、少なくとも僕の生き方にちょっとだけの方針転換を与えた。

映画で熱演された大杉漣さんと斜向かいの家のMさんの御霊が天高く昇っていかれることを祈りつつ。

コメント

まるこ
2018年2月26日9:03

Mさんのお話。身につまされました。
明日は我が身…そんな気がしました。
密かに思っていることは帰国する時乗った飛行機が墜落してくれないかなと。
夫婦同時にあっという間にですもんね。
どちらが残っても、残されても耐え難い寂しさと辛さだと思うんです。


マサムネ
2018年2月26日9:55

まるこさん

大多数の人がそうでないようにまるこさん所はそんな映画のようなことは起きないと思います。きっとMさんも病気が判明して初めて始末の付け方に奔走したのだと思います。血の繋がった親類全てに自分が居なくなったときのことを断られてじゃあしかたない、と思ったのか、すごい親身になっていたのにつっぱねられたのかは僕にはわかりませんけど。 僕は死んだあとのことについて割りと頻繁に話します。(妻は母型の祖父母の墓に入りたいらしいけど、僕はどこの墓もいらないから海にでも撒いちゃって) 夫婦と言えど、亡くなった後まで一緒にいたくはない(笑)夫婦もいるんですけど、美化してしまうと「一緒に死ねる」というのは幸せなのかもしれないですね。 よく籠城した城主が妻子を殺して切腹したりするシーンがありますけどあれはまあ特別なパターンですね。 そういえばですが、飛行機って宝くじに当たるより落ちなくなったようですね。 どこかの詩人が「愛する人を失うこともそれはそれで良いことだ」と書いていて気がします。 僕には到底想像も付きませんが・・・・。(うどロスまで一ヶ月!) コメントしにくい駄文に毎回心のこもったコメントをありがとうございます。 

マダムM
2018年2月26日10:45

人それぞれに事情があるのでMさんご夫婦についてはノーコメント。
ただ私の周り、義母、祖母、母と皆未亡人生活をそれなりに楽しんでいました。
一人暮らしです。『夫』というストレスから解放され、のんびり出来たみたい(笑)借金でもない限り、年金でそこそこの生活が出来ればいいと思います。
現在家族が居ても、最期は一人だと覚悟を決めています。だから目下「おひとりさま」でも楽しめるようにトレーニング(?)に励んでおりまするよ(^^♪

マサムネ
2018年2月26日12:16

マダムさん

終わり方(命のしまい方)というのはそれこそ千差万別ですからね。「誰しも必ず来る」ことくらいしか確実に言えることはないですね。 Mさんの奥さんにおひとりさまを謳歌する気楽さがあれば今でもそこに家が建っていたのかもしれないですね。 きっと向こうでも夫婦でやってらっしゃるのだと思いたいです(僕はあの世へ行ったら一人で気楽にやりたい)

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索