僕が小田原に引っ越してきた頃のお話。

「伊勢屋」(仮称)というお店があってそこのお菓子を食べるのが楽しみだった。

月33500のアパートに一人で暮らして手取り10万超えない給料で生きていた頃のささやかな楽しみだった。

知り合いも友達もいなくて、たまに食べるその和菓子のほんのりとした甘さがただただ身にしみた。

アパートを引き払い猫を飼い、家族が一人増え、一人増え、一人増えた。

数年が経ち、「伊勢屋」(あくまで仮称)の団子と大福を昔を思い出しながら食べてみた。

ま、まずいよ

団子はやわらかすぎたり固すぎたりした。大福のそれは致命的ではないにしろもちもちとした歯ざわりが失われつつあった。

「そっか。ここも味を落としちゃったか。」

ここの大福は硬くなる大福でコンビニで売ってるいつまでもやわらかい大福とは一線を画していてとても好きだった。

ラーメン屋は店を拡げると不味くなる。

・・・・。

和菓子もそうか?

小田原ラスカに一店舗増やしただけじゃないのか?

一方うちのそばにあるこぢんまりとしたパンやさん。

「ういーと」(仮称)ここの甘食(くるみとレーズン入り)が好きでたまに食べたくなると買ってくる。

最初に入ったときはすごく無愛想に見えたおばさんも何度か行くので覚えてくれたのかこころなしか愛想よく見える。

家族でやっていて水、木はここの焼きたてのパンが食べられない。

生地は天然酵母しか使ってないためか結構ワイルドな味がする。

でも、食べると「あ〜この味だよねこれこれ」と納得する。

和菓子と甘食(パン)を比較して申し訳ないと思うけど「食べ物を作る」という点で言えばまあ同じだと思う。

手を拡げて不味くなるか。

こぢんまりとして細々と(見た目)営業するか。

変わってしまった味、変わり続けぬ味

小田原の片隅で。

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